ご縁カウンター

2005年01月19日

悲鳴は危険信号

尿道結石と診断されてから用心深くタケの様子を見ることにした。
病院から帰ってもおしっこの量は多少増えたくらいで、苦しさからは解放されていないようだ。
グッタリとしたままのタケに家族全員が心配して暗い雰囲気になってしまう。
いてもたっても居られず、初診から2日経って、もう一度診察してもらう事にしたのである。

山○獣医科病院に着くとれいの院長先生が顔を出した。
「やっぱり駄目だった?」
「はい、元気が戻らなくて」
先生は渋い表情を浮かべ、タケを診察台に乗せるように言った。
リトマス紙を使って病気の度合いを尿で調べるようである。リトマス紙をタケのお○ん○んに付けると色が変わるのを待つ。何色に変わったかは記憶が古いので忘れてしまったが、青だったか赤だったかに変わったのだ。
その色を見て先生の表情は更に渋みを増していた。
「とりあえず、薬を飲ませ続けてみて。酷くなると吐いたり悲鳴をあげるから、その時は直ぐに連れてきてね」
「悲鳴ですか?」
それを意味するものがいまいち理解が出来なかった。
「おしっこが出なくて苦しくなると『ギャー!』っていうから、そう言ったら直ぐに連絡ちょうだい」
「はい」
なんだか恐ろしい事になったとタケを抱っこしながら更に不安になった。

自宅へ着くと、母上に先生から言われた事を伝えた。
母上はタケの頭をなでながら、弱々しく甘えるタケに胸を痛めているようである。
暫くして夕方になり、それまでタケの行動を目で追っていた私であったが、先生が言う悲鳴はまだあげていない。
「大丈夫かな?」
夕食の支度をする母上は私を元気付けようと、
「大丈夫よ」
とは言うがそれは気休めにしかならない。
そんな時タケがベランダにあるトイレへヨロヨロと入っていったと思ったら、急に吐き出し、悲鳴をあげたのである。
「ギャ!」
「お母さん、タケが!」
母上が直ぐに獣医へ電話をすると、私はタケをタオルでくるみ、直ぐに家から出られるようにした。
そこへ「ピーンポーン」
『こんな忙しい時に誰よ』と思いながら、タケを抱いたまま玄関へ出ると同じマンションの真田(仮名)さんである。
「どうしたの?」
と驚いた顔で真田さんは言うが、こっちの方が聞きたいくらいだ。
「タケが病気で今獣医さんに連れて行こうとしていたのです」
「あら大変」
そんな話をしていると、母上は電話を切って玄関に現れ言った。
「あら、こんにちは」
いえいえ、挨拶している場合じゃないですから。
私は苛立ちをおさえられずにいた。タケを早く病院へ連れて行かなくちゃならないんだから。
「猫ちゃん病気だって?」
真田さんも心配してくれている様であるが、私としては早く動き出したかった。
「そうなよ」
そう言ってから、母上は私に先生から言われたことを話した。
「手術する事になったわ。入院するように勧められたから」
「しゅ、手術?!」
なおさら急がなくちゃならないじゃないか。
私は更にヒートアップして頭から煙が出そうな状態である。『早くしないといけない』そんな焦りで泣きたくなった。
そんな私に気が付いたのか、真田さんは私の頭を冷やしてくれる事を言ってくれたのである。
「車で乗せてってあげる」
地獄に仏とはこう言う事か……。その一言で私の頭は徐々にクールダウンしていった。
さっきまで真田さんの存在がうっとうしく感じてしまった自分に反省しながら、すがる目で母上に訴えた。
うんと言って欲しい。真田さんにお願いして欲しいという気持ちでいるのである。
私の訴えに答えたというより、もともと母上の性格はチャッカリしたところがあって、人の好意にはどこまでも甘えるところがある。
私の心配をよそに母上はすまなそうな顔で言った。
「あら、お願いしていいのかな?」
「いいの、いいの。大変な時だからね」
真田さんの親切心にこんなにも感謝した事はなかっただろう。
こうして母上も一緒に病院へ行く事になり、山○獣医科病院へ行く事になったのだ。

尿道結石の症状は、尿の量が少量になり嘔吐が起きる。尿が出なくなると『ギャー!』と悲鳴をあげる。原因は肥満や塩分の取りすぎのようである。
タケの場合、嘔吐は少なかったけれど、尿の量がたれる程度になってしまった。
可哀想なことをしてしまったものである……。


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posted by まわた at 11:57| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ☆竹千代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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